イヤホン・ヘッドホンに接続されているケーブル接続を、別のケーブルやり直す事をリケーブルと言います。 初めからイヤホンやヘッドホンに付属している純正ケーブルを別のケーブルに変えることで、音質面でのクオリティーアップを図ったり、ケーブルの違いによる音色変化を楽しんだりすることができます。また、断線により使用ができなくなったイヤホン・ヘッドホンを長く利用することもできます。プロユースにおいてのメンテナンス性向上のための機能でしたが、近年では音の変化を楽しむことができる手段として多くのコンシューマオーディオユーザーにも愛されている機能です。 |
Beat Audio – Supernovaにリケーブルした状態 |
「イヤホン本体は同じですが、体感上、聴こえてくる音が異なってくる事が「リケーブル」の効果であり、それが個性を生み出し、また1つ「遊べる楽しみ」を与えてくれます。 近年では安価なイヤホン等でもリケーブル可能な機種が増え、音質の変化をお手軽に楽しむことができるようになってきました。純正品だけでは物足りないな・・・と思っている方も、手軽に自分なりの音を組み立てることができます。
色や取り回しなど、物によって様々なので、カスタマイズ性も含めて楽しむことができます。 |
近年のiPhoneやandroid搭載スマートフォンでは、音楽用の端子を搭載していない機種が増え、付属イヤホンやワイヤレスイヤホン以外での接続ができないものが増えてきました。 しかし、リケーブル対応のイヤホンを利用し、リケーブルをすることで、それらの機種に接続することが可能になります。 例えばBluetooth接続が可能なケーブルにリケーブルし、ワイヤレス接続をしたり、iPhoneで搭載されているLightning端子を用いたケーブルに変更することにより、接続の幅を広げることができます。
それによって、NETFLIXやAmazonプライムビデオをより高音質で楽しむこともでき、より様々なシチュエーションでリケーブル可能なイヤホンを楽しむことができます。 |
「リケーブル」を行う際に注意すべきポイントがいくつかあります。 その一つが「イヤホン・ヘッドホン側の端子の種類」がどれになるのか、それを事前に把握し、次に購入しようとしているケーブルがそのリケーブルしようとしているイヤホン・ヘッドホン本体に対応しているのかどうかを事前に確認する必要があります。
現行のイヤホン、ヘッドホンに採用されている全ての端子をここでご紹介するのは難しいですが、その中でも特に需要のある端子を下記の通り、写真付きでご紹介します。 |
イヤホン、ヘッドホンを通して音楽を楽しむ為には、音楽を再生するための再生機(プレイヤー)が必要になります。現在はそのプレイヤーにも様々な種類があり、ポータブルプレイヤーの高級機ともなると、ヘッドホン、イヤホン向けのバランス伝送に対応した機種も販売されています。 一方、プレイヤーとイヤホン、ヘッドホンの間にアンプやDACを挟むことにより、また異なる型状の端子を使用するケースもあります。その為、入力側の端子型状に関して、適切な選択が必要となってきますが、代表的な種類を下記の通り紹介いたします。 |
「線材(ケーブル導体)の違い」これは音色や音質面に比較的大きな影響を与える要素ですので、注目すべき点となります。現在市販されている製品を比較すると、大きく分けて下記3種類に線材は分類されています。
1. 銅線
2. 銀メッキ銅線
3. 銀線
価格帯的には、「銅線 < 銀メッキ銅線 < 銀線」という順で高くなっていることがほとんどで、「高純度」というワードが付いた場合、同じ線材でも高価なケーブルとなります。
「高純度」と付けてあるケーブルのメリットとしては、電気信号を損失なく伝送し、音質を向上させることがあります。万が一、プレイヤーから流れてきた電気信号(音)がイヤホンケーブルを通過する時点で劣化し、その先のイヤホンに届いた場合、それ相応の音質変化を聴覚上で確認することができます。従って、銅、銀メッキ銅、銀の純度については、高い方が有利となります。
一方で、純度の高い導体を造るということには困難な面もあり、各社独自の熱処理技術などを利用して、いかに導体の純度を高めるかという点に設備投資、研究開発等行っています。
また、純度を限りなく高めた場合、導体が逆に脆くなるという場合もあり、強度を保ちつつ、純度を高めるという行為は、大変な作業とされています。
このページの初めのほうで、『今回は「リケーブル」を行うことによって得られる「音質改善」や「音色変化」という2点に注目していきます。』とお話しましたが、ここからがそれに関する最も重要な内容となってきます。
ここから先、説明の上で私の意見も述べさせて頂きますが、「リケーブル」によって得られる価値「音質改善と音色変化」について、「音質改善」については「導体の純度(分子配列を含む)と導体数」、「音色変化」については「導体の種類」これらがそれぞれの大きな要因になっていると経験則から考えております。
より詳しい説明は下記になります。
展示会や試聴会を行った際、リケーブルを一度も試したことがないというお客様とお話する機会がございますが、開口一番に「思っていた以上に効果があった。」とご感想いただくことがほとんどです。
「効果があった」というのは、「音質が向上した(音の解像度が増した)」または「音が良くなったかは別として、音そのものは確かに変わった」ということを意味しています。
そういった多くのご感想を頂いている中で「音質が改善した」とご感想をいただく場合の殆どが、「導体の純度が高いケーブル」または「使用している導体の本数が多いケーブル」を試して頂いた時になります。
考えられる要因としては、プレイヤーからイヤホン・ヘッドホンまで電気信号(音源)がリケーブル前に比べて、ロスすること無く届けられたことにより、それ相応の音質が得られたと考えられます。
勿論、様々な要因はあるかと思いますが、上記も1つの要因であると考えます。
「100% (ヘッドホン・イヤホンの潜在能力) + α」と上述していますが、
例えば付属品のケーブル(銅導体のケーブル)を高純度銅線にリケーブルして比較した場合でも、音質改善の効果が聴覚上確認できることから、「導体の純度が高いケーブル」または「使用している導体の本数が多いケーブル」を使用した場合、電気信号がロス無く伝送され、結果的にイヤホン・ヘッドホンの潜在能力を引き出す切っ掛けとなったと考察しています。
そのことを踏まえて、ALO audio製品を例にして、ALO audioではどのようなことをして、ケーブルの品質を向上させているのか、または高品質を保っているのかについて、メーカー紹介を含め解説していきたいと思います。
ALO
audioは、ケーブルデザイナーであるケン・ボール氏(右写真)によってオレゴン州ポートランド市で創立されたケーブル及びアンプの製造メーカーです。
業界でも高い評価を得ている独自の熱処理技術(クライオ処理・アニール処理)をケーブルの製造に活かし、ポータブルオーディオまたはホームオーディオ向けに高品質ケーブルを製造しています。
ALO
audioで働くスタッフは、職人でありながらも、大のオーディオファンであり、カスタマー視点での厳格な製品チェックを怠らず、ケーブルは時間を掛けて製造されています。
ALO
audioが手がけるケーブルのクオリティーを裏付ける要因として最も重要なのは独自の熱処理技術であると言えます。
まず、ALO
audioが導体に採用している熱処理技術には大きく分けて2つの熱処理があり、その一つが「Cryo処理 (クライオ処理)」になります。
クライオ処理は、-100度以下での熱処理技術を用いることで、分子配列の歪を取り除き、従来の製法ではなし得ないほど、より完全な結晶体を得る技術ですが、ALO
audioではコンピューターの制御下でクライオ処理を行える機械を使用し、独自の管理方法に基づいて、このクライオ処理を行っています。
2つ目の熱処理技術は「Annealed処理(アニール処理)」になります。
アニール処理とは、加工硬化により生じる内部の歪みを取り除き、組織を軟化させ、展延性を向上させる熱処理技術のことを指し、「焼なまし処理」とも呼ばれています。その目的は、硬さの低下や組織の調整により被削性、塑性加工性の改善などが挙げられ、後の部品加工の際の変形、変寸の原因を防ぐために行います。
ALO audioでは、こうした独自の管理方法に基づいた熱処理を約1週間ほど行った後、品質が同社の基準を満たしたケーブルだけを選別し、その後、生産を行っています。高品質の裏付けはそこにあります。
下記写真がALO audioのラボにて使用している、熱処理を行う機械です。
4本の導体は、それぞれが丁寧にエナメル加工され、素材には銀メッキ銅を使用しています。柔軟性だけでなく、耐久性や耐酸化性にも優れたケーブルです。
導体は「Litz Wire Earphone Cable」と同様、「高純度銀メッキ銅導体」を使用。使用する撚線を「2倍」にしたことで、より優れた音質を実現しています
導体は取り回し良く鮮やかで、それを保護する外装にはFEP(ふっ素化エチレンプロピレン)を使用しています。ケーブルの構造はマイクロフォニックノイズを最小限に抑える構造となっており、繊細な音まで限りなく忠実に耳に届けてくれます。
Litz Copper Earphone Cable」は、ALO audioがCampfire Audio製イヤホン「POLARIS」の為に特別に手掛けたイヤホンケーブルです。「Litz Copper Earphone Cable」では銀メッキを施していない「純銅」の線材を使用し、外観をPOLARISの筐体カラーに合わせ「ブラック」で仕上げています。
これまで、「音質改善」に関することを話してきましたが、最後は「音色変化」に関する内容になります。
「線材(ケーブル導体)の違い」について説明した際、「線材」の種類は大きく分けると下記の3種類に分類されるとお伝えしました。
1. 銅線
2. 銀メッキ銅線
3. 銀線
加えて、試聴会などで感想を頂く際、「音が良くなったかは別として、音そのものは確かに変わった」という感想をいただくことがあるとお話しました。
「音色変化」に関しては、全く異なる導体のケーブルを数本用意し比較試聴した際、その変化を聴覚上、感じ取れやすいという例から、導体の種類が大きな要因になっていると考察しています。
「音色変化」、これは「100% (ヘッドホン・イヤホンの潜在能力) + α」の「α」部分、言わば「付加価値 (個性) 」という考えのもと説明していきますが、一体それはどういった状況で必要になるのでしょうか。
リケーブルを行う最大の目的は、勿論「音を良くしたい」これに尽きると思いますが、どういった方向性で「音を良くしたいのか」これが重要になってきます。
例えば「音の解像度を上げたい」ことを目的とした場合、ALO audioを例にしたように「純度の高い導体」「導体数が多い」この辺りを1つの選択肢としてみることが良いでしょう。
ではそれとは別に「低域の量感を増やしたい」「高域の質を変えたい」そういった意味での「音を良くしたい」という目的の場合、導体の種類をそれぞれ試していくというのが1つの手段だと考えます。「銅線・銀メッキ銅線・銀線」のそれぞれに挿し替えてみて、好みの音を追求するという方法です。
それが一番わかりやすい手段ではあるのですが、当社取扱いメーカーである「Beat Audio」がその点に関して、様々なアプローチを行っている為、ここからはBeat Audio製品を例にして、実はこういった製品もあるんですよということを説明していきたいと思います。
Beat Audioが手がける製品は、導体に高純度銅線、銀線を採用している他、それぞれに個性的な音色を持たせています。ケーブルのデザインも「朱色」のケーブルがあるなど、大変個性的なラインナップとなっています。
そんなBeat Audioのケーブルですが、何がそういった個性を生み出しているのかと言うと、音のチューニングの為に「レアメタル」や「ミネラル」といった別の要素を線材に組み合わせ、市場には出回らない、特注の線材を製品に採用することにより、個性的な製品を生み出し続けています。
Emerald MKllは初代Emeraldよりも高域の特性、低域のレスポンス、サウンドレンジ、解像度など全てにおいて改良を施しました。 更に、Beat Audioのハイグレード・ケーブルシリーズでも使用している独自の絶縁スリーブを採用したことで、ケーブルの取り回しを大幅に改善しています。
Beat Audio独自の冶金技術を駆使することで完成した新導体は、素晴らしい音響特性を得るために粒子レベルで配列を整えた特殊な合金導体です。この特殊な導体で作られた導電糸には、数ダース毎に特殊なチューブを巻き、酸化の原因となる外気を完全に遮断する構造になっています。
Signal MKIIのサウンドチューニングについて、低音域は従来モデルであるSignalを継承しており、これまで通りパンチの効いた低音が楽しめます。高音域は新しく作りだした合金導体の音響特性が向上したことで、格段にサウンドレンジが改善しています。
独自のケーブル構造を再開、Supernovaと比較してSupernova MKIIでは、音のステージ感やディテール(解像感)などが約300%、品質的に向上。スケルトンの絶縁スリーブは、Beat Audioの上位シリーズ「Billow」や「Prima Donna」と同じスリーブを採用しており、ケーブルにかかる振動を低減させることでノイズ対策になり、且つ、取り回しをSupernovaよりも改善しています。
Beat Audioは、イヤホンケーブル市場のリーディングカンパニーとして、とても早いサイクルで新製品を生み出し続けています。
例えばその一つが、iriver社 Astell&Kernブランド製品向けのバランス伝送用端子(2.5mm
4極端子)であり、常にマーケットのニーズに対応できるよう努めています。
一方、常に端子等は改良を行っており、マイナーチェンジが他のメーカーと比べても早いことが特徴的です。Astell&Kernブランド製品向けのバランス伝送用端子(2.5mm
4極端子)に関しては。最終的に金型を自社で造り、極めて精度の高い端子が使用されています。
現在は、SONY PHA-3向けの端子も手がけており、ほぼ全てのプレイヤーまたはアンプに対応していけるよう製品開発を行っています。