About Campfire AudioCampfire Audio 特集

Campfire Audio(キャンプファイヤー オーディオ)は、米オレゴン州ポートランドを拠点にオーディオ機器の設計、製造を行う製造メーカーです。ALO audio(エ-エルオー オーディオ)として、ポータブルオーディオ向けのケーブルやアンプを作り始めたことが「Campfire Audio」立ち上げのきっかけとなりました。
私達は長い期間に渡り、アンプやケーブルを熱心に作ってきましたが、常に私達ALO audioのケーブルやアンプの魅力を十分に引き出すことができるイヤホンやヘッドホンを世界中から探してきました。しかし次第に、私達は既存の製品では何かが欠けていると感じ始め、私達のこのALO audioの工房で私達の基準を満たすことができる最高のイヤホンを開発することを決意しました。結果は、私達の想像を遥かに超えるものとなりました。

 

 

 

私達の製品は、米オレゴン州ポートランドのこの場所(ALO audioのLab)で製造、開発をしています。製品は確かな技術力を持った職人によって、ハンドメイドで一つ一つ丁寧に作られます。また、製品に使われるパーツは高い水準で精査され、私達が定める水準を満たすパーツだけを選定し、各製品に使用しています。

私達はこの場所(米ポートランド)で3種類の製品を作っています。各製品には、キャンプファイヤーを囲む夜空をイメージして、星座の名前を付けました。 「LYRA(こと座)」「JUPITER(木星)」「ORION(オリオン座)」の3つの星座です。

この西海岸の夜空を見上げた時、まるでこの夜空が自分が宇宙の中にいるかのように思わせてくれます。この美しく、広い夜空の中を煌めく星々がCampfire Audioの製品名となっています。

 

Campfire Audioと言えば、世界で初めて発売が開始された製品として「LYRA(レイラ)」が最も認知されているでしょう。LYRAは2年ほど前からSennheiser IE800を一つの目標として開発を始めた製品だとKen氏(CEO)は話します。Ken氏は何より、ダイナミックドライバーが持つ深みがあって自然で疲れを感じさせないサウンドが好みだと話し、その一つがIE800であり、当初はリケーブル不可能なIE800を自らバランス伝送が出来るよう改造し、個人で楽しんでいたほどIE800を気に入って愛用していました。

 

右の写真は、ALO audioのオフィスにセッティングされているKen氏のオーディオです。オフィスは大変静かで、小音量でJAZZが流れています。JAZZ喫茶のような、とてもゆったりとした空間です。

 

LYRAの魅力について

LYRAの最大の特徴は、ダイナミックドライバーのみで再現されているとは思えないほど広いサウンドレンジです。それを可能にしているのが、高品質な日本製の銅クラッドアルミ線(CCAW)を採用した「8.5mm経のベリリウム製ダイナミックドライバー」「高密度セラミック筐体」そして「ALO audio製の純正IEMケーブル」です。

 

■ ベリリウム素材のダイナミックドライバー 

LYRAに採用しているベリリウム製ダイナミックドライバーは、非常に薄いPET(プラスチックフィルム材)にベリリウムを化学蒸着させたもので、銅の懸濁液をベースとしています。Ken氏曰く、ベリリウムという素材は古くから音響特性の良さからハイエンドオーディオの分野で扱われてきた素材であって、過去YAMAHA NS-1000やNS-2000などに使用されてきたと話します。ベリリウムは熱に強く軽い、そして大変硬度が高い素材で他には代えられない価値があり、音響的には不要な偽信号を排除し、高音域を拡張させ、低音域においては歪みを減らす働きがあります。このベリリウムを振動板に使用することにより、より正確な音の伝搬が可能となり、さらに高品質な日本製の銅クラッドアルミ線(CCAW)を使用し、この精度を上げています。

ベリリウムですが、オーディオ的に様々な価値がある素材ではあるものの、扱いが難しいことから様々なテストを行う必要があるという難点があります。Campfire Audioでは、SGSやCTIなどの国際検査機関におけるテストを行い、このベリリウムという価値ある素材を製品に使用し、加えて、厳選したパーツを組み合わせることで、より広い周波数帯域を確保しています。

 

■ 高密度セラミック筐体

LYRAの筐体には、原料として「ジルコニア(ZrO2)」が使用されたセラミック筐体を採用しています。Ken氏曰く、筐体の素材を決めるにあたり「ポリカーボネイト」や「流体金属」など様々な素材をテストしてみた所、LYRAに採用しているベリリウム製ダイナミックドライバーと組み合わせるには、このセラミック筐体がベストだったと話します。実際にラボで周波数特性(50Hz – 20kHz)を測定してみたが、どの筐体も似たような特性だったそうです。しかし、セラミック筐体は聴覚上、他のどの素材よりもサウンドに深みがあり、そして自然だったと話します。

このセラミック筐体を成型するには、長い時間を要すると言います。セラミックの材料を調合する所から始まり、 顆粒化 – 射出成形 – セラミックの脱バインダー – 焼結 – 研磨 – 組立、最後にクオリティチェックという工程が必要となります。焼結工程においては、1400度という高温度で72時間焼き上げる必要があり、長い時間を要します。完成された高密度セラミック筐体は、ダイナミックドライバーを囲む音響室として、大きな意味を成します。

 

■ ALO audio製の純正ケーブル

LYRAには、ALO audioが作っている「Tinsel Earphone Cable」が使われています。Ken氏としては、Campfire Audioを立ち上げた一つの理由として、ALO audioの製品を活かせるイヤホンやヘッドホンを探し続けてきた経緯もあり、Campfire Audio製品の付属品としてALO audioの高品質ケーブルを使用することはとても理に適っています。

「Tinsel Earphone Cable」は、ALO audioが扱っているケーブルの中では下から2番目のグレードを誇る線材を使用しています。最もグレードが低い線材にはPVC(塩化ビニール)被膜を使用した「Green Line Cable」がありますが、「Tinsel Earphone Cable」には上位グレードの「SXC 24 Earphone Cable」や「Copper 22 Earphone Cable」にも採用している「FEP(ふっ素化エチレンプロピレン)」を使用しています。FEPはテフロンに似て透明性が高く、水や汗、日光などの紫外線にも強く、一般的なイヤホン用のケーブルに使用されているPVC素材の外装に比べて遥かに性能が高いです。導体の酸化を防ぎ、ケーブルのデザインそのものを美しい状態で長い間維持するために優れた設計となっています。

 

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「Less is more」という思想

Campfire AudioがLYRAの次に発売を決めたのがバランスド・アーマチュアドライバーを搭載した「JUPITER」「ORION」の2製品です。Ken氏は、「Less is more」つまりは「最小で以って、最大限の成果を生み出す」ことを哲学に製品開発を行い、今マーケットで主流のマルチBAイヤホンとは異なる方向性、LYRAのようにシンプルな音響設計を開発コンセプトとして決めました。Ken氏は、この設計思想がマーケットに対して何かしらの影響力を持ち、いずれ一つの模範として数えられるようになる事を願っていますと話します。

完成したORIONについて、シングルドライバー構成というシンプルな設計ではありますが、ORIONを聴いてくれた人の誰もが驚くようなクオリティを確実に生み出したと話します。ORIONのサウンドは、ダイナミックドライバー型イヤホンを聴いていると錯覚するような一貫したサウンドバランスが特徴で、歯擦音を含まない透明感ある高域、原音に近い中域、バランスド・アーマチュアドライバーによるパンチの効いた低域にだけでなく、ダイナミックドライバーの音だと錯覚すらさせる低域の再現性・量感、いずれの音もORIONはそれが当たり前であるかのように「自然に」奏でてくれると語ります。

 

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職人によるハンドメイド

Campfire Audioの製品を説明にするにあたって、私達がどのように私達の製品を作っているのかをたった今「JUPITER」や「ORION / Sky」をここALO audioのラボで作っているので、現場の写真を撮って送ってあげようと言われ、ALO audioのスタッフから沢山の写真を受け取りました。

Ken氏は、Campfire Audioの製品を支えているのは、ALO audioの頃から培ってきた職人の手によってハンドメイドで一つ一つ製品を作り上げる企業方針だと語ります。一つ一つ丁寧に作り、一つ一つ丁寧に包み、製品をお客様の元へ届けることが重要であって、Campfire Audioを始めるずっと前から、生産拠点はここ米ポートランドであり、メイドイン・ポートランドを今後も継続する想いだったと話します。

ALO audioで働くスタッフは、私がALO audioのラボに訪れた今年の1月の時には、8人程度でした。CEOのKen氏を含め、ほとんどのスタッフがそこでALO audioのケーブルを編み、Campfire Audioのイヤホンを組み立てています。

右の写真を見て知りましたが、3年ほど前にALO audioを去り、その後地元のラジオ局に務めていた元ALO audioの社員がまたALO audioに戻ってきて、Campfire Audioのイヤホンを組み立ててくれていると聞きました。Campfire Audio製品の生産が追いつかないので、また戻ってきてくれて助かるとKen氏は話します。彼は4年ほど前に2、3度、日本のヘッドフォン祭に参加しており、また日本に来てくれる日を楽しみに思っています。

 

一つの到達点

Ken氏曰く、このJUPITERは私たちが数年掛けて創り上げてきたオーディオに対する取り組みを具現化させたものであり、一つの到達点だと話します。「Less is more」という哲学は、その過程でORIONを誕生させました。しかし、私たちはそこで追求を止めようとはしなかった。その後も開発を続けることを決断し、そこから何千時間もの時間を開発にかけて、揺るぎない根気と観察眼の末、ORIONの生まれ変わり「JUPITER」が誕生したと語ります。JUPITERは、私たちが求めるサウンドを確実に表現し、改めて音楽を聴く楽しみを私達に与えてくれました。

 

■ チューブレス設計 – 新技術「Resonator assembly」

Ken氏曰く、JUPITERの開発にあたり最も重要とした点は、高音域の特性を現代だからこそ可能な新しい技術や音響設計を用いることで、改善させる事だったと話します。その結果完成したのがバランスド・アーマチュアドライバーに音導管を使用しない「チューブレス設計」です。私達はこの設計を「Resonator assembly (レゾネーター・アセンブリー)」とこう呼んでいます。Campfire Audio製品の為に、バランスド・アーマチュアドライバーを提供してくれているメーカーの協力もあり、このチューブレス設計の導入をマルチBAドライバーモデルのJUPITERに導入できたと話します。

ここで一例として、逆にチューブが必要なイヤホンについて、カスタムIEMがあると話します。カスタムIEMは個人の耳型に合わせてイヤホンの筐体を形作ります。その為、ドライバーを配置する場所が異なり、音を外に出すまでの距離が個々で異なることになります。こういった場合は、特にマルチドライバーの場合など、チューブを使って各帯域の速度を調整することができる為、位相の調整などを行う上で理に適っていると話します。しかし、JUPITERは機械によって高精度で削りだされたアルミニウム筐体を使用する為、ドライバーの配置が変わったり、音を出すまでの距離がカスタムIEMのように変わることはなく、また別のアプローチが出来たと話します。

またKen氏は、イヤホンの開発を進めていく中で、音導管を使用することで本来バランスド・アーマチュアドライバーが持っている能力を十分に引き出せない問題や音導管の中にピークを落とす為の音響フィルターなどを詰めて、高域の特性を悪くしてしまう設計を別の方法で改善したいと考えていました。その結果として、BAメーカーと協業した末に完成したのがチューブレス設計の「Resonator assembly (レゾネーター・アセンブリー)」という設計方式です。通常バランスド・アーマチュアドライバーのユニットには、チューブを挿す為の突起が付いています。しかし、JUPITERに搭載しているBAユニットにはこの突起がなく、すっぱりと切られています。

JUPITERの筐体には別にもう一つ、BAユニットを収めるための箱が用意されていると話します。この箱は3Dプリンターで作られており、各帯域の為に用意されたBAユニットをそれぞれその箱に収め、4ドライバー・2ウェイクロスオーバー設計のJUPITERの場合、筐体内に低域用のBAユニットと高域用のBAユニットがそれぞれ2基ずつ設置されていますが、高域のほうが音が速く空気中を伝わる為、その3Dプリンターで作られた箱を前後にずらし、位相の調整を行っていると話します。

このチューブレス設計は、バランスド・アーマチュアドライバーが本来持つ周波数特性を十分に引き出し、歯擦音をほとんど感じさせない透明感のある高域を実現しています。そして、高域の特性が改善されたことにより、中域の表現がより開放的でリアルになり、より自然な階調が得られています。

 

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日本へ、200本限定生産のスカイカラーモデル

今年の春、Ken氏が春のヘッドフォン祭に参加した際に、ブルーカラー筐体のORIONを日本市場の為に作って欲しいとKen氏に相談しました所、遂にそれが現実となりました。

私の記憶では、ブルーカラーの筐体サンプルは全部で4種類ありました。今回「ORION / Sky」に採用されているこの筐体カラーは、秋が過ぎ、そろそろ冬が近づくこの季節への私のイメージとして、スノーブルーのような淡いブルーカラーが季節感もあり良いのではと考えた末、決定した筐体カラーになります。結果として、200本という数量限定生産にて販売する運びとなりました。

Ken氏は、年に数回、東京で展示会がある度に日本へ訪れ、その度に日本の人々と文化に触れてきました。その感謝の意として、このお願いを引き受けてくれました。

 

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私にとっての「ゴール」とは、初めてケーブルを作り始めたその日から、個人に対しての「Acoustic Vehicle」を創り出すことでした。「Acoustic Vehicle」とは、それを聴くことによって私達の心を動かしてくれるものであり、それは「キャンプファイヤー」を見つめることで得られる、自身の感覚が極限まで研ぎ澄まされ、より深く自分自身と向き合うことが出来るようになる、あの感覚に似ています。良質な音響機器を使って音楽を聴くことは、私達の心をより深いところへ連れて行ってくれます。私達は、私達にとっての「ゴール」である「私達のカスタマーが聴き入るような良質な音楽を聴く条件= Acoustic Vehicle」を創り出すことを目標にこの大切な仕事をしている中で今回、その「Acoustic Vehicle」を皆さんに紹介出来る事を大変嬉しく思っています。

 

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